この重さ15トンもある巨石は、神戸市東灘区岡本の旧谷崎邸にあったものです。この家は昭和三年に谷崎潤一郎が建て、約三年間住み、「蓼喰う虫」などを書いた所です。
昭和十三年、六甲の山津波が起こり、芦屋川をはじめ各河川が氾濫して、芦屋も大きな被害を受けました。その状況は潤一郎の名作「細雪」に見事に描かれていますが、当時梅ノ谷と呼ばれた旧邸のあたりもすさまじい土石流に襲われました。
この石は、その山津波で旧邸内に流入し、そのまま庭石として置かれ、五十年の星霜を経ました。そして、阪神大水害五十周年にあたる今年、谷崎潤一郎記念館の竣工に際し、旧邸の所有者文箭智行氏のご好意により、この地に移されました。
この石が、文豪のゆかりと、自然の脅威や治山治水の大切さを後世に伝えるよすがとして、末永く記念館を見守ってくれることを願うものです。
昭和六十三年七月
芦屋市
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